K5の天体写真適性 実践編
追記:2011/01/09
新年早々、PENTAXのHPにファームウエアのバージョンアップのお知らせがありました。
機能追加・変更内容 《バージョン1.02》 •SDXCメモリーカードに対応しました。 ※転送速度UHSスピードクラスに は対応しておりません。 •露出モードB(バルブ)で全てのISO感度設定の使用を可能にしました。 •コントラストAF時の作動シーケンスを改善し、合焦までの全体速度を向上 しました。
昨年のこの記事で指摘した、バルブでの感度上限がISO1600までという制限が無くなりました! これはうれしい改良です。
去年書いたこの記事の不満を解消してくれるかもしれません。
今は山の方は雪で行けないので、暗い空の場所へ行くことがあったらもう一回高感度の星景写真を撮ってみたいです。
(2010/12のテスト記事)
今回は単なるノイズテストではなく、K5を天体撮影に使用してみて感じたレポートです。
2010年12月12日に千畳敷カールで撮影した結果から考察します。
画像処理はしない、JPEG撮って出しの画像です。
今回は固定撮影で広角レンズを使用し、いわゆる星景写真での使用結果です。星景写真というのは風景写真の星空版で、短時間露光で地上風景と星を止めた状態で撮影します。
今回は30秒露光でケンコープロソフトンA使用しています。
高感度NRは中、長秒時NRはオンに設定。ホワイトバランスは自動。
高感度のノイズ
とりあえずISO6400で撮影開始。何枚か撮って気づいたことは、連続撮影していると画像の赤味が増すということです。
実際の写真で比べてみましょう。マウスを載せると4枚連続撮影後の写真に切り替わります。
PENTAX K5,ISO6400,30s
DA 10-17mmF4 FisheyeZoom(F4,13mm)
これは過去のPENTAXデジタル一眼にも見られた現象で、主にセンサーの発熱で赤いノイズが増すと思われます。
同じ写真のピクセル等倍画像で実際のノイズを比較してみたのが次の写真です。マウスを載せると画像がチェンジします。
やはり連続撮影後は赤いノイズの増加が見られます。
しかし、センサーの連続使用による発熱とはいっても、このときの気温は-10℃~-13℃という寒さでした。カメラは冷え切っていて、これでは本来発熱は問題にならないと思われるのです。冬でこれだと、夏はもっとノイズがひどくなるかもなあ......という懸念を抱かせました。
そこで次の手は「感度を下げてみる」です。ノイズが目立ってきた4枚目のすぐ後にISO3200にしたのがこの写真。
確かにノイズは減りましたが、天の川も写りが悪く、露光不足という感じです。もっと長めの露光をしてみたいのですが、ISO3200以上は30秒が露光の上限というのが、ネックなのです。ちょっと不満が残る仕様です。せめてISO3200までバルブ対応してほしかったです。バルブでISO1600までというのでは旧機種から全く進歩がないですね。
天体写真をデジタルで撮るという分野は、撮りたい星景とノイズとのぎりぎりの妥協点探しとも言えます。
ISO6400で長時間露光は無理でも、たとえばISO3200で40秒ならどうか?50秒ならどうか?とぎりぎりの撮影ポイントを詰めていくことが、K5ではできないのです。
この点はまだまだ仕様に不満があります。こういう制限はファームウエアのアップデートで対応してくれないかなと思います。
明るいレンズを使う
そこで次にとれる手段は「明るいレンズを使う」ということです。感度と露光時間で稼げないなら、レンズを明るくするしかありません。そこでDA対角魚眼ズームがF4なので、フィルム時代の対角魚眼 A16mmF2.8に交換。APS-Cサイズセンサーでは魚眼にはなりませんが、私が持っている最も明るい超広角レンズです。
これはF4とF2.8の比較写真です。DAフィッシュアイとAフィッシュアイの比較です。ISOは3200で30秒露光。
DA対角魚眼F4解放
A対角魚眼F2.8解放
やはりf2.8の写りはいいですねえ。その後はISO3200で撮影していきましたが、6400の時ほどのノイズ増加は見られず、一応使用に耐えるという感じでした。
ということで、K5で星景写真を撮るときは、
1.6400で連続撮影はノイズが増加する。
2.感度を落として明るいレンズを使う。
ということになりますね。
K5は進歩しているとは言っても、星景写真という分野では、まだまだいろいろと制約があるということです。
しかし、旧機種に比べればかなり星が撮れるということは、今後もこのHPでも紹介していこうと思います。
ひとつ優秀な点も発見しました。それは低温時でも電池の持ちがよいということです。
もともとカタログスペックでも-10℃まで大丈夫ということになっています。今回それが文字通りそうであることが分かりました。だいたい1時から4時頃まで3時間ほど使ったのですが、電池は1本で済みました。
この点は安心できる仕様ですね。